トレーニング -And then, we will climb the rainbow-

[制作年 / サイズ] 2007年〜2013年 / サイズ可変

[マテリアル] パフォーマンスを記録した写真(デジタル銀塩写真)

 

 

 「トレーニング -and then, we will climb the rainbow-」とは、色とりどりの衣服を身に付けた 人が、運動の残像によって「虹をつくること」を目指す行為の一瞬を切り取った写真作品のシリーズです。

  髪型を変えただけなのに、出くわした相手に喜ばしいような表情で「痩せた?」と聞かれたことが度々ある。病気をした祖母は、医者や家族から「こんなリハビリ運動をしたら、もっと速く歩けるようになりますよ、手がこんなに振れるようになりますよ」と励まされ、リハビリをがんばっていた。私はこれらの経験から、他者 によって歓迎される身体の形=型というものに興味をもった。   

 筋肉トレーニングを扱った本ではよく、「使っている筋肉をイメージしなさい」というようなフレーズが出てくる。そうして筋肉のありかをイメージしながら筋肉トレーニングを行うと、イメージしていなかったときとは違い、その筋肉へ負荷のかかる率が高くなる。スポーツのイメージトレーニングでも、目の前にいない相手の動きを 想像してトレーニングが行われる。さらに寝ているときにも、夢で見ている運動をしようとして、それが夢だと気付かないままに、実際の筋肉を動かしてしまうことがある。「イメージ」をもった動きによって身体は形づくられる。そして人々は自分の身体のみならず、他者の身体 にもさまざまなイメージを投影する。私の身体は、他者と私のイメージの交差点に形づくられている。それなら、求められる身体を目指してトレーニングやエクササイズを続け、身体の形=型を変形させていけば、私と他者が別々に希望するものの交差する場所を、具体的な身体の「形」として表せるのではないかと考えていた。そういったトレーニングによって作られた身体の形は、私と他者が共同作業で作り上げた、どちらの所有物でもない「型」となるのではないかと考えた。それはまるで、ふとできてしまった空き地のようなものだ。

 「トレーニング -And then, we will climb the rainbow-」は、虹を作ることを目指して行われたトレーニング、リハビリの写真だ。運動は自身の体で、各々独自に行われた。しかし、私たちは各々の身体に負荷をかけ ながら、「虹」というイメージを中継点にして、遠く離れた他者と交信をしようとしていたのではないだろうか。

 

 

 

 

© 2014 by Mariko Tomomasa. All rights reserved.